毎週 木曜日発行!!  平成13年 11月1日創刊

週刊 上原直彦
「浮世真中」が本になりました!
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週刊上原直彦「浮世真ん中」が本になりました!
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2006年 9月28日
連載 エッセイ
      「浮世真ん中」(256)

*<風に吹かれて・高速道路>その(1)

 北部・本部町に友人を訪ねての帰り、車は名護の市街地を通り抜けた。
 右手には、名護湾が波静かに広がる。フロントガラスにあたる風が、遊び歌「なーくにーを歌え」と、誘いかける。すぐに、口三弦<くち さんしん。口真似で三弦音を出すこと>で、歌持ち<うたむち。前奏>を二つばかりして、歌った。

 ♪トゥントゥン テントゥン テントゥン テン・・・・
 浦々ぬ深さ 名護浦ぬ深さ 名護ぬ女童ぬ 思い深さ
 <うらうらぬふかさ なぐうらぬふかさ なぐぬみやらびぬ うむいふかさ>
 歌意=水深のある入江の多い名護海岸。その中でも最も深いのは出舟入舟で賑わう名護湾だ。しかし、名護の女童の色香、情は、それよりも深い。

 「浦々」としているのは、かつて、恩納村を過ぎ、名護・許田<きょだ>から市街地まで8キロの沿岸道は「七曲い。ななまがい」と、名高く称される蛇行道であった。そのために(入江)が多かったからだろう。七曲いも、数え方によっては47、49曲がりとも、51曲がりとも言われた。しかし、戦後、道路整備が進むにつれ「七曲い」も、その姿をほぼ直線に変えている。春から若夏にかけて、海と向かい合った丘陸地に、野生のテッポウユリが咲くのは、いまも変わらない。

 ことのついでに「なーくにー」を3節4節歌っているうちに、車は許田に達し、高速道路に乗ることにした。

名護湾

 沖縄自動車道は、名護市許田から那覇市首里の那覇ICを結ぶ57・3キロを走る高速自動車国道である。
 沖縄の日本復帰を記念して開催された「沖縄国際海洋博覧会」の関連道路として、まず1975年5月20日。許田IC〜石川IC間25・9キロが一般国道329号として開通した。許田から9.2キロ行くと宜野座IC。17・4キロで金武<きん>IC。伊芸<いげい>サービスエリアをはさんで23・2キロに屋嘉<やか>IC。そして、石川ICに至った。
 その後、1987年10月8日。石川IC〜那覇ICが開通。また、2000年6月28日、西原ICの開通により、県庁所在地那覇市へ入るにも便利になった。

 いま少し整理してみると、沖縄高速自動車道は名護市許田〜宜野座村〜金武町〜金武町屋嘉〜うるま市石川〜沖縄市北〜沖縄市南〜北中城村〜西原町〜那覇市の10IC。さらに西原JTCから南へ分岐して南風原ICが開業していく、その先、豊見城市平良を経て、那覇空港への延長が計画されている。
 車を走らせるうちに、あることに気付いた。
 南進・北進を問わず、各ICが近くなってくると目に飛び込んでくるモノがある。IC所在・市町村のイメージパネルである。その地の名所・旧跡・歴史・観光地などを描いた看板。
 (北から南の順に。何週間要するかはドライブと同じく気まかせに、ひとつひとつ見て回ろう)
 そう思い立って今回、カメラにおさめたのは許田ICのイメージパネル。
 〔ハングライダー〕
 名護市はじめ北部には、ヤンバルクイナの棲息地。本島北端の辺土岬<へどみさき>。海洋博公園。ヘリ基地移設予定地辺野古<へのこ>。特産みかん園。世界遺産のひとつ今帰仁城址<なきじん>等々。思いつくまま列記しても、まだ見どころが多いのに何故〔ハングライダー〕なのか。
 名護市には、沖縄の代表的な山のひとつ「多野岳=たのだけ。標高385メートル」があり、その山頂では毎年、全国ハングライダー大会が開催されている。亜熱帯樹が生い茂る山々。青空へ飛び立てば、眼下には珊瑚礁の海。しかも、左右を向くと東の海西の海が同時に見えるとあっては、全国の鳥人たちが見逃すわけがない。
 (新たな観光スポットとして売り出そう)
 こうした意図があって、許田ICは〔ハングライダー〕を採用したものと思われる。


 宮古島には、秋を告げる渡り鳥アカハラダカが飛来し始めた。
 長袖を着るにはまだ早いが、朝夕肌をなでる風は心地よくなってきた。涼風に誘われるまま、今日にも次の宜野座ICのパネルを撮りに行く。


 次号は2006年10月5日発刊です!

2006年9月分
週刊上原直彦(256)<風に吹かれて・高速道路>その(1)
週刊上原直彦(255)<敬老の日・シマ言葉の日>
週刊上原直彦(254)<風の中の老農夫>
週刊上原直彦(253)<山羊のいる風景>

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