毎週 木曜日発行!!  平成13年 11月1日創刊
週刊
 上原直彦
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2003年 11月27日
連載 エッセイ
      「浮世真ん中」(109)

*<手紙出せます>

琉歌一首。
“名護ぬ番所 只今ぬ羽書 我身持たち給り 我無蔵見ゃがな”
<なぐぬ ばんどぅくる たでーまぬ はがち わみむたち たぼり わんぞ みゃがな>
*羽書=この場合、公文書。*只今=すぐに。至急。我無蔵=私の愛する女性。
名護間切から選ばれて、首里王府の親方<うぇーかた。高級役人。大臣クラス>宅に奉公している男。急を要する公文書が名護番所に送られると聞いて、それを持って行く役目を私奴に申しつけ下さいと、願い出た歌。
歌意=名護番所への至急の公文書ならば、土地勘のある私奴に
     持たせて下さい。名護には、末を誓った女がいます。
     彼女の顔を見たいもの。是非行かせて下さい。
王府時代。人材育成の意図もあって、各間切<まじり。今の市町村にあたる>から優秀な若者を選び出して、首里の高級役人館に奉仕させた。労働の合間に読み書き算盤を教わるが、奉公期間3年。これを「番上い=ばん ぬぶい」という。年期が明けると、出身地に帰り、間切番所の役職に就くことができる。
件の若者も、修行しながら辛抱強く年期の明けを待っていたのだろうが「名護への御用」と聞いて、彼女への思慕が高まったのであろう。しかし、身分は奉公人。公文書である羽書が彼に託されたかどうか・・・・。
首里―名護間十数理の道程。楽な道中ではないが「思うて通えば千里も一里」で、彼はどうしても行きたかったに違いない。
今は通信が発達して、電話も個々が携帯する時代。それどころか写メールは普通。テレビ電話が一般化する日も近い。

沖縄戦が終結した3ヶ月後。昭和20年9月5日の新聞に「手紙出せます」の記事を見ることができる。曰く。
*軍政府は、島民待望の通信事務を開始することになった。郵便局は近いうちに設置するが、局長が決定するまでは、各市町村長が適当な補佐役を置いて事務を執ることになる。
*注意事項。
(1)発信、受信人の住所を明記すること。なお、受信人の住所には、元の住所を併記すること。
注=例えば、私の場合。那覇の戦火を逃れて、恩納村に避難。石川岳、恩納岳を彷徨い、金武山中で捕虜。石川市に連行された。従って、郵便物には、元那覇市山下町2丁目69番地。現石川市に1区5班3組と記さなければならなかった。同郷人といえども離散していたからだ。
(2)軍政下にあるので、手紙の内容を調べられることになっている。発信人は手紙を開封のまま、市町村の係員に提出する。なお、軍事上に関する事は書いてはならない。
(3)市町村長は、手紙の内容を検査すること。軍事上、支障のあるものは返却し、書き改めさせるか、一部を抹消すること。
(4)郵便物は、通信事務所ごとに一括して軍政部に郵送するが、宛名の下にはローマ字を附すこと。包装は厚紙とし、糊着しないで紐で縦横に括った方がよい。

昭和25、6年ごろになって、学校の近くに貸し本屋が出来た。大人たちは古い単行本や雑誌キング、リベラルを。私などは雑誌少年クラブ。殊に漫画「お山のくろちゃん=作・馬場のぼる」や小松崎滋のペン画に夢中になった。借賃は軍票B円ほど・・・・。さだかでない。月刊誌とは言っても、もちろん、3、4ヶ月遅れであったが、母なる国ニッポンの香りは十二分に温かかった。
その少年雑誌の後ろのページには「お便りコーナー」があって、私が初めて手紙を書いたのは、これを手掛かりにしてのことだった。2、3ヶ月の時間を要したが返事はあった。が、50余も経つと、胸ときめかせて文通した相手が何処の何方だったか、すっかり忘却してしまった。懐かしいやら情けないやら・・・・。

私は手紙が好きだ。県内外を問わず手紙を書く。相手の携帯電話、Eメール、FAX等のアドレスも承知しているが手紙を書く。
2004年の年賀ハガキも発売された。早速、買いに行く。

*写真は、1948年<昭和23年>1月3日。
正月の晴れ着。左、姉愛子。中央、兄直政。右直彦<10才>石川市にて。

◆今週の上原直彦◆

11月30日(日)
第15回全国生涯学習フェスティバル「まなびピア沖縄2003」内「島うたのある風景」=講師=
ゲスト=古謝美佐子
場所:沖縄コンベンションセンター<会議室>
時間:午前10時

11月30日(日)
「まなとピア沖縄=芝居を楽しもう」
上原直彦作「新・丘の一本松」
出演=サークル「かじまやー」、芝居塾「ばん」
場所:県立郷土劇場
時間:午後3時

 次号は2003年11月27日発刊です!

2003年11月分
週刊上原直彦(109)<手紙出せます>
週刊上原直彦(108)<いい子 いい子>
週刊上原直彦(107)<老人の周辺>
週刊上原直彦(106)<時には色ばなし・不倫事件>

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