毎週 木曜日発行!!  平成13年 11月1日創刊
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 上原直彦
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2003年 8月28日
連載 エッセイ
      「浮世真ん中」(96)

*<発進!ゆいレール>

平成15年<2003年>8月10日。沖縄初の都市モノレール<ゆいレール>が開通した。
那覇空港駅から首里汀良町の首里駅まで15駅。営業距離12.9km。片道27分。朝6時から夜11時30分までの営業。最高速度は、時速約65km。2両編成で165人乗り。座席65席。運賃は、初乗り3区間まで200円。3km毎に30円増。那覇空港駅−首里駅まで290円。地上から8−20mの高さを走り、儀保駅−首里駅間では、那覇市が一望できる上に、クジラまでは見えないが、慶良間諸島が手のとどくところにあり、夕陽は1128億円の美観である。この数字は総建設費。

“汽笛一声 新橋を・・・・”ではないが、各駅到着前には、木琴の演奏で10秒、沖縄メロディーが車内に流れる。
(一)那覇空港駅。
*谷茶前=たんちゃ めー。リゾート地恩納村谷茶を舞台に、漁村の人々の日常を歌った、もっとも、ポピュラーな曲。その舞踊は県内外に知られている。
(2)赤嶺駅。
*花ぬ風車=はなぬ かじまやー。童唄として親しまれているが、生まれ年を十二年毎に祝う生年祝い<とぅしびー すうじ>の内、97才を「かじまやー祝」といい、もう、その年になると<童に還る>とされ、この節を歌って祝う。童たちが歌うことによって、その童に長命の徳をつけたのであろう。
(3)小禄駅。
*小禄・豊見城=うるく とぅみぐしく。節名三村ぶし。隣接する小禄、豊見城、垣花は、かつて、染織物の産地であったことを歌っている。ほかに潮平<すんじゃ>兼城<かなぐしく>糸満<いちまん>三村の「魚売り」、首里は赤田、鳥堀<とぅんじゅむい>崎山<さちやま>三村の「酒造り」などの歌詞がある。
(4)奥武山公園駅<おうのやま>
*じんじん=童唄。じんじんは蛍の幼児語。一般語はジーナー。
(5)壺川駅。
*唐船どうい=<とうしん>。王府時代、中国交易に用いられた官船。「どういッ!」は「××だぞうッ!」の呼ばわり語。
(6)旭橋駅。
*海ぬチンボーラー=遊び歌の代表格。駅近くには現在、バスターミナルがあるが、この地はかつて、仲島遊郭だった。チンボーラーは、小巻貝。
(7)県庁前駅。
*てぃんさぐぬ花=童唄。教訓歌。てぃんさぐは、鳳仙花。余談=池波正太郎の鬼平犯科帳「むかしの女」に「水郷深川の草地に溝荻が咲きみだれ、ところの女の子たちが鳳仙花の葉や花弁をもみつぶし、これで爪を染めたりしてあそびはじめた」とある。
(8)美栄橋駅。
*ちんぬくじゅうしい=ちんぬく<里芋>、じゅうしい<雑炊。里芋ごはん>。琉球放送ラジオの「ホームソング」として、昭和43年<1968年>発表。作詞あさ ひろし。作曲三田信一。
(9)牧志駅。
*いちゅび小節=沖縄本島中部で歌われた遊び歌。エイサー歌。いちゅび<いちご。野いちご>
(10)安里駅。
安里屋ゆんた=八重山竹富島の歌。
(11)おもろまち駅。
*だんじゅかりゆし=船送り歌。だんじゅ<げにこそ。誠に>の意。かりゆし<嘉例吉。吉事。めでたい>。日常語の場合「道理で。ほんとに」なども意味する古語。
(12)古島駅。
*月ぬかいしゃ=八重山の子守歌。かいしゃ<美しい。清らか>
(13)市立病院前駅。
*くいちゃー=宮古の集団歌舞。くい<声>。ちゃー<合わせる。混ぜる>。したがって、声合わせ歌。
(14)儀保駅。
*芭蕉布=琉球放送「ホームソング」の内。昭和40年<1965年>発表。作詞吉川安一。作曲普久原恒勇。
(15)首里駅。
*赤田首里殿内=あかた すん どぅんち。王府時代。首里には祭事を司る首里、儀保、真壁の三祝女殿内<館>があった。首里殿内は、赤田にあったため、その地名をかぶせて呼称。童唄でもあり、五穀豊穣、平和祈願の歌でもある。

かくて「ゆいレール」は、沖縄中の歌をうたいながら、今日もいい顔で走っている。

 次号は2003年9月4日発刊です!

2003年7月分
週刊上原直彦(96)<発進!ゆいレール>
週刊上原直彦(95)<サイレンが鳴る>
週刊上原直彦(94)<花の命は・・・琉歌>
週刊上原直彦(93)<七夕。そしてお盆>

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