毎週 木曜日発行!!    平成13年 11月1日創刊
週刊 上原 直彦  ニュース
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 11月総集編


連載 エッセイ
      「浮世真ん中」(5)

 *鶏鳴

英語圏の鶏は「C0CK−D00LE−D00!と鳴く」
中学生のころ、そう教わった。日本の鶏は「こけこッこうッ!」が普通。
鶏にそれぞれの自国語があるとは考えにくいが、何故、こうも異なるのだろうか。
鶏のみならず、星の輝きも、日本は「キラキラ」だが、あちらは「ティンクル ティンクル」とまたたいているらしい。
「それぞれの民族の五感<殊に聴覚>は同一ではなく、また、発音、発声など言葉<語感>の異なりが、これらの擬似音を生む」
そう言い切った人がいるが、ニッポン語と沖縄語の二カ国語しか話せない私は「なるほど」と、すぐに納得してしまう。
鶏鳴は本土と沖縄でも相違がある。まあ、正確にはその地域の人が持っている音感の相違で、鳴き声そのものは同じなのだろうが・・・・。
一般的に首里那覇の鶏は「こッころーこーッ!」 「こッころーうーッ!」 「こッここーうーッ!」もしくは、下町のそれは「けッけれーけーッ!」である。
それが、中頭地域<なかがみ・沖縄市など沖縄中部地区>では「こッけれーけーッ!」同地域でも字美里では「こてこッこーッ!」と鳴いて暁を告げる。
さらに、宮古島の鶏は一般的に「くッかくーくーッ!」もしくは「くッかぐーぐーッ!」と、宮古言葉のもつ独特の発音と抑揚を発している。
宮古城辺町出身の歌者国吉源次によれば、
「我が故郷の鶏は<ぐッぐぐーぐーツ!>と、誇らしく鳴く」
と、顔を真っ赤にして実演してくれた。妙に説得力があった。
いまのところの鶏鳴収集はこの程度だが、おそらく、各地に独自の言葉と訛りがある分、鶏鳴は異なるのだろう。世界各国をはじめ、日本、沖縄各地のそれの調査を続けたい。
記載した鶏の鳴き声は、是非、声を出して<裏声に限る>読んで、いや、鳴いていただきたい。ただし、所を選ばず突然<鳴き>出すと、誤解を招く恐れがある。要注意。
ところで。
鶏は文明9年<1477年>の「朝鮮人南島漂流記」にも見え、昔から時を告げる役割を果たし、人間社会に貢献してきた。しかし、夜の明けるのも忘却して愛を語り合う恋人たちには、随分、憎まれてきた。
琉歌の中には、相当数の<鶏を恨み憎む>詠歌がある。その一首を記しておこう。
“あねる鶏に 物投ぎてぃ呉るな
  暁ぬ別り 知らす科に”
<あねる なぁどぅいに むぬ なぎてぃ くぃるな
 あかちちぬ わかり しらす とぅがに>
歌意=こやつ鶏奴には、餌など投げ与えるなツ。いや、何も喰わすなツ。愛しい人の折角の逢瀬に、別れの<時>を鳴き知らす罰としてツ!」


11月
週刊上原直彦 (5) *鶏鳴
週刊上原直彦 (4) *港口<んなとぅ ぐち>
週刊上原直彦 (3) *マッちゃん!まぁかいがッ。
週刊上原直彦 (2) *巣はいずこ
週刊上原直彦 (1) *<まずはホームページ開設の挨拶代わりに>

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